研修と実戦と
『IT系の研修』というものを考えると、その内容はどのようなものでしょうか。
例えばPCについて専門用語の羅列した教本を見ての勉強?
例えばプログラミング言語の教本を基に黙々とコード打ち?
例えばシステム設計書を見ての構造説明?
確かにそれらは『ある一段階』を超えている場合、強く意味があります。その『ある一段階』とは『どのようなものであるかの実践を経た経験がある』人です。
自転車に一度も見たことも乗ったことがない人にどんなに理論を説明しても、高級なロードバイクのどこが凄いかわからないように。TVゲームを一度もしたことがない人に、現在のゲーム機の高性能であることがわからないように。
一度も料理と家計管理をしたことがない子供が、家を維持することがどれほど大変かわからないように。
『最初の経験』をして初めてそのスタートラインに立つのです。皮肉な話ですが、IT業界は『一見様お断り、経験者のみ』の風潮があり、『最初の経験』をすることができず、矛盾しているようですが『経験がない人は入れないが、経験している人が欲しい』という状況に陥ります。
例えばPC操作がわからない人に教本を見せてもわかりません。
例えばプログラミングの理屈がわからない人には言語の本は意味を成しません。
例えばシステムが何かをわからない人に設計書を見せてもただの文字の羅列でしかありません。
そこで弊社の研修は『概念理解』に特化した観点で実施しています。
まず概念がわかり、教本を読めるような段階にすることを弊社は最初のステップとしています。教本を読める段階になっているならば、具体的な技術を教えます。技術がわかったら次は実際の現場で実践してもらいます。そして最終的に本人の得手不得手を把握して、より良い道へのスキルアップを目的としたロードマップを作ります。状況が変わればまたそれに対して柔軟に道を変化させ、そして本人も会社もお互いがよい関係になることを目指します。
『研修程度の技術を軽くかじったくらいで現場に出ていいの?』
『いやいや、スペシャリストになって初めて現場に出るっていうのは何年間研修する気ですか?』
昔私が上司とした会話です。
今となってはその上司の言い分もよくわかります。実戦を全て想定した研修やそれを納めることなど不可能です。実戦の現場は刻一刻と変化しており、研修内容をその度に変化させていっては終わりはいつまでもありません。
弊社は『概念理解』→『技術理解』→『実戦』をベースにしています。
入社前からIT系だった人は弊社の場合1割もいないです。
そういった未経験の方を許している弊社中心の現場でまず実力と現場経験を上げていただき、そのうえで本当の意味で技術者としてスタートに立っていただく、そんな方法で弊社は進んでおります。その方法が正しいかどうかはわかりませんが、少なくともそれで今まで結果が出ています。いつも指導員は頭を抱えます。
『IT系の研修』というものを考えると、その内容はどのようなものでしょうか。